緑の芝生と真っ青なスタンドがまぶしい。収容人数三万人。グラウンドはほぼ甲子園と同じ広さだ。「これほどの器。プロ球団があって不思議じゃない」
松山市坊ちゃんスタジアムを見渡し「プロ野球を本拠地にする会」の金城正信代表(三八)は確信する。野球王国愛媛の「夢」だ。
「本拠地にする会」は昨秋、発足した。ライブドア、楽天の新規参入をめぐり大阪、長野、仙台と、その本拠地がとりざたされ、「取り残されては」と動き始めた。若手経営者を中心に、約三十人で球団運営のあり方を研究する。
行政も積極的
松山市と野球の緑は深い。至急や打者など野球用語を和訳し、野球殿堂入りした俳人正岡子規を生み、プロ野球人も多い。
四月末には四国アイランドリーグ(四国独立リーグ)が船出する。
行政も積極的だ。松山市は都市戦略の一環として、プロ野球に照準を合わせてきた。二〇〇〇年に市民の半数近い丹生二万人の署名を背に、プロ野球オールスター戦を誘致。
昨秋はヤクルトスワローズの秋季キャンプを招き、二万人の観光客を集めた「全国に情報発信でき、経済も活性化する。地方にとり、プロ野球は本当に魅力的だ」とは中村時広市長(四五)だ。
ただ球団誘致となると話は簡単ではない。二〇〇〇年七月に完成した坊ちゃんスタジアム。国の地域総合整理事業債を充当する地域作り事業として、松山市が総事業費約百五十億円をかけて造った。債還額の半分近くを国が地方交付税で賄う。しかしプロ球団が興行目的で占領すると、本来の目的から外れ、交付税の減額されかねない。
野球熱の高さが逆に難しい調整も迫る。どう球場の利用実績は今でも年間約百八十日。広島東洋カープが本拠地とする広島市民球場とほぼ同じだ。「市民利用の制限のつながるわけで、理解を得るのは大変」同市スポーツ・健康教育課の仙波隆一課長(五五)が明かす
集客に不安
四国四県の人口は約四百十万人。五十年ぶりに新球団が誕生した東北約九百八十万人の半分に満たず、中国地方の約七百七十万人にも大きく及ばない。集客力に不安は残る。「キャンプの定着などから始めていきたい」と松山市は慎重だ。
器もあり、野球熱も高い。なのに球団は遠い―。松山の現実に、金城さんは歯がゆくてならない。「でも球界再編の動きはまだ続く。誘致の声を上げる金沢や新潟に負けられない」市民を動かす起爆剤になれば、と思いを巡らす。
同時に、瀬戸内海の対岸にある市民とカープの「冷めた関係」が気になって仕方がない。市民は球場に足を運ばず、成績も低迷する元祖・市民球団。「ぜいたくじゃないかなあ。『宝物』の価値を、市民も球団も忘れかけていませんか?」広島への問いかけである。
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